NovelFF9

クジャ×ジタン

君だけの時間
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ED後、着実に迫るクジャの寿命を前に次第に自分 を見失い思い悩んでいくジタンと優しく支えようとす るクジャのお話。(完結)
マーメイド
背徳の宮殿にて。クジャへの思いに戸惑うジタン。
What's biting you?
クジャに噛み付いたジタンのお話。

君だけの時間                           time2:Zidane

嘘をついた

「さて、どうしようか・・」

向かう先はリンドブルムでも、黒魔道士の村でもない。 ただあてもなく海岸線を歩き、穏やかに波打つ大海をぼんやりと眺める。クジャには週に何度かタンタラスに行くと言ってあるが実のところ、オレはいつもこうして時間をつぶしていた。

あれから1年が経つとはいえ、オレたちの捜索活動はまだ続いていたようだ。必死の捜索の様子を耳にする度に、仲間たちの気持ちを思い少し胸が痛くなった。 こうしてみるとクジャが町に出なくて逆によかったと思ってしまう。

そう・・・
オレはまだみんなに消息を知らせていない。
そして、そのことをクジャに言っていない。

「ジタン、世話をしてもらっていてなんだけど・・・僕ばかりに構っていていいのかい?仲間に無事は知らせているんだろう?」
「ああ、もちろんだぜ」

クジャからの突然の問いにイエスと答えたのは一月ほど前の話。 これがオレの嘘の始まり。

正直、なんでこんなことをしているのか、自分でもよくわからない。
ただ、オレを知っている奴が誰もいないこの状況で、クジャだけと時間を共有していることがなんだか凄く楽しかった。みんなには、会いたい。けど、みんなに会えばこんな毎日が壊れてしまいそうで・・・・・怖いんだ。

・・オレは馬鹿だ・・・こんなこと・・いつまでも続かないことは、最初からわかってるのに・・。

今日も、町へ行くのかと尋ねてきたクジャにああと返事をし、そして何食わぬ顔で家を出た。
オレの精一杯の幼稚な嘘は、まだ見破られていない。

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2004.2.22 開設