実習生が来た! |
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実習生セルジュ・マツカを加えた4角関係(?) |
キース先生の事情 |
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キース先生に振って湧いたお見合い話 |
さよならお隣さん |
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キース先生に振って湧いた異動話 |
「じゃあ、今日はここまで」
ブルーが教科書を閉じると同時、日直の生徒の号令で起立する生徒たち。
授業終了の礼を終えるや否や各々の席から四散する彼らに笑みを零し、ブルーはいつものように職員室へ、次の授業の準備に向かった。
その途中、前方に見慣れた背中を見つけて、ブルーの笑みがさらに深くなる。
「お疲れ様」
「ああ」
返ってきたのは予想通り、愛想のない返事。
だが声の主は無愛想とは裏腹に、足を止めて自分を待ってくれている。ブルーの恋人であり、同僚であり、よきお隣さんでもある彼・・キース=アニアン。
ブルーは一年前、彼のそんな優しさに惹かれた。そして今なお、惹かれ続けている。
「君も次の授業あるの?」
「いや。2年の6限は学年集会」
「そっか・・。いいなぁ、2年生。1年はコマ数が多くて息切れしちゃうよ・・僕も2年生の担任がよかった」
「そうか?俺はまた今年も修学旅行の引率があると思うと億劫だがな」
キースと出会ってから一年。
とある事情があって他校から異動してきたブルーだったが、今ではすっかりこの学園に慣れ、新年度からは晴れて1生年の担任になっていた。一方のキースといえば、引き続き2年生の担任をしている。
職員室の席が近いとはいえ、学年が違うせいか、こうして彼と校内で顔を合わすことは正直珍しくなっていた。
キースのクラスの副担任だった頃が懐かしい。
新学年が始まってまだ二ヵ月程しか経ってはいないが、ブルーはなんだがあの日々が酷く懐かしく感じられた。
「そういえば、今日の放課後だったな」
「?」
「教育実習生が打ち合わせに来る」
「ああ、僕も一人面倒見ることになったんだ。名前なんだったかな・・えっ~と」
「何だ、知らないのか?」
「ちょっと忘れちゃっただけだよ。じゃあキースは覚えてるの?自分の担当の実習生の名前」
「ああ、大学の後輩だからな」
「ふ~ん・・」
彼方を見つめたキースが僅かにはにかんだ。
こんな顔もするんだ・・。
まだ自分の知らないキースがいるということが、嬉しくもあり、ほんの少しだけ悔しくもあった。