Novel地球へ・・・

キース×ブルー

Memory of a pain
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番外編:隠し事
過去の記憶を持つブルーと持たないキース。痛みの記憶と向き合う転生パラレル。(完結)
side : Jommy
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同タイトルのジョミー視点のお話。(完結)
風紀委員長の日課
1 2 3 4 番外編:Valentine’s Day
風紀委員長キースと生徒会長ブルーの初々しい学園パラレル。(完結)
鉄仮面の失敗
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アニメ15話捏造話。シャングリラ脱出の際、キースが犯したミスとは・・?(完結)
セルジュ=スタージョンの疑問
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キース×ブルー←セルジュ(完結)

ジョミー×ブルー

激闘 in シャングリラ!
前編 中編 後編 後日談
ブルーの一言で、シャングリラ中を巻き込んでの腕相撲大会が行われ・・?(完結)
悩めるスノーホワイト
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アルテメシアを発って1年、少し遅めのジョミーの歓迎会が開かれることになったシャングリラ。(完結)

風紀委員長の日課 -1- side:Blue

彼が目に付いたのは、ほんの偶然だった。

異例の推薦を受け、生徒会長の務めを始めた1年の秋。同様の委員会報告を生徒会室で繰り返し受けるため、いつしか手持ち無沙汰になった朝のホームルーム。 その暇つぶしに、ブルーは窓の外を見るようになっていた。

最初はただぼんやりと空を見た。
次に、何かないものかと校庭を見下ろした。
そして見つけた。

彼を。

まだ下位学年でありながら、自分同様に、そして同時期に校内風紀の統括を任された彼の名を、ブルーは勿論知らないわけではなかった。
鉄壁のキース。
鬼のゲートキーパー。

それは風紀委員長として仕事を始めた彼に、一月も経たないうちに付けられた異名だった。その理由も、ブルーはなんとなくは知っていた。

このシャングリラ学園の風紀委員の仕事は主に2つある。
1月に1度の風紀検査と、毎日交代で校門に立っては遅刻者に目を光らせる早朝当番だ。
通常なら、各クラス・学年の風紀委員が日替わりで番をする後者だが、委員長である彼は必然的に毎日校門に立っていた。上級生だろうと、女子生徒だろうと甘い顔をしない徹底したその仕事ぶりは遅刻者から恐れられ、瞬く間にありがたくない異名がついていったのだった。


(うふふ、もうすっかり色づいてきましたね)
「?・・」

ホームルームの合間、すぐ後ろの席の少女、フィシスが声をかけてきた。
彼女は書記として生徒会に推薦を受け、この秋からブルー同様勤めを始めたばかりだった。 聡明で繊細な感性を持つ少女は、ブルーの視線の先を問うたものの、その薄い反応に、すぐに小さく首を傾けたのだった。

(あら、校庭のイチョウを見ていたわけでは・・?)
(ん?ああ、ちょっと校門に面白いものがあってね)
(校門・・・というと、風紀委員の早朝当番を?)
(うん、そんなところ)

フィシスが少し驚いたようにブルーの目線の先に目をやると、女子生徒が今まさに風紀委員長に捕まっていた。校門に滑り込もうとしたところで、強く腕を引かれたのだ。

「まあ。もう少し優しく接してあげればいいのに・・」
眉を寄せた少女のその言葉に、ブルーはフィシスを一瞬振り返った。
そして心の中で、誰にも聞こえぬ返事をした。

優しく・・?
彼は優しいよ。

淡々としているように見えて、彼は色々と気を使っているんだよ。ほら、今飛び込んできた彼女。あのまま突っ込めば、逆方向の男子生徒にぶつかってしまう所だった。

実際、いつでもキースは遅刻を見張ると同時に、みなが怪我をしないように細心の注意をしていた。機械的に厳しく、事務的にそつなくこなされている中、気付きにくいそれ。 しかし、その細やかな気配りはブルーには際立って見えた。

特に遅刻者のごった返す時間帯、ブルーはそのほとんどを校門に目を向けていた。 正確には、校門脇に立つすらりとした長身の同級生に。 そして潮の引くように校門に人気がなくなると、疲れた目を休めるように、最後は校庭の緑や空を見る。

今日の空は、あの瞳の色より少し明るい色だ。

朝の暇つぶしはいつの間にか、彼を見つめる唯一無二の時間になっていた。

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2004.2.22 開設