Novel地球へ・・・

キース×ブルー

Memory of a pain
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番外編:隠し事
過去の記憶を持つブルーと持たないキース。痛みの記憶と向き合う転生パラレル。(完結)
side : Jommy
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同タイトルのジョミー視点のお話。(完結)
風紀委員長の日課
1 2 3 4 番外編:Valentine’s Day
風紀委員長キースと生徒会長ブルーの初々しい学園パラレル。(完結)
鉄仮面の失敗
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アニメ15話捏造話。シャングリラ脱出の際、キースが犯したミスとは・・?(完結)
セルジュ=スタージョンの疑問
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キース×ブルー←セルジュ(完結)

ジョミー×ブルー

激闘 in シャングリラ!
前編 中編 後編 後日談
ブルーの一言で、シャングリラ中を巻き込んでの腕相撲大会が行われ・・?(完結)
悩めるスノーホワイト
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アルテメシアを発って1年、少し遅めのジョミーの歓迎会が開かれることになったシャングリラ。(完結)

セルジュ=スタージョンの疑問 -6-

大佐は何故奴を・・・。

オリジンの元を訪れてから一週間が過ぎようとしていたが、相変わらずセルジュの頭の中はそのことでいっぱいだった。
現在の戦局はまさに、ミュウとの全面対決へと向かいつつある。この状況であのオリジンを捕虜として活用しない手はないだろう。
だが、先日の一件でセルジュはその可能性は限りなく低いだろうと直感していた。

なんていうか・・・傷らだけで、辛うじて生きてるって感じだった。
捕虜と言うより・・まるで大切なもののように人目から隠して、自分の傍に置いているって感じでもあった。

「なんだかなぁ・・」

疑問に対する答えはとうに出ていたが、それを認めるのが億劫だった。


「なあ、お前はどう思う?」
「え・・」

休憩室でマツカの入れたコーヒーを飲んでいたセルジュは、何気なく彼に問いかけた。

「ミュウだよ、ミュウ。お前はあいつらのこと・・どう思う?」
「・・・僕は・・」

そう難しい質問をしただろうか。
マツカはいつになく思いつめた表情をしているような気がした。

「さあ・・僕には・・・よくわかりません・・」
「・・だよな」
「?」
「俺もわからなくなってきた」
「・・・」

「ところでお前、そのティーセットは何だよ」
「え?・・あの人にも、飲んでもらおうと思って・・」

あの人、ね・・・。
そう小さく呟くと、セルジュは目の前のティーセットを忌々しげに見つめた。


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「これはこれは」
「・・なんだよ」
「すっかり嫌われてしまったかと思ったんだけど」

再びマツカの仕事を奪って訪れた例の部屋。
ティーセットを抱えたセルジュを、皮肉交じりに再び赤い瞳が迎え入れた。

「・・勘違いするな。お前に会いに来たわけじゃない。俺はただ、大佐が心配なだけだ。お前のような奴を傍に置いて・・お前が大佐に妙な考えを吹き込んだりしないか見張りに来たんだ」
「その割にキースのいない時を見計らって来るんだね」
「・・」
「まあいいけど、ありがとう」

セルジュの苦しい言い訳にも優しく微笑むと、オリジンは差し出されたコーヒーを捕虜とは思えない優雅な所作で味わっていた。

「・・・お前はどうして・・そう笑っていられるんだ?」
「?」
「その目、大佐に撃たれたものだろう」

相変わらず眼帯に覆われた右目を指差した。
セルジュの問いに、オリジンは答えなかった。

「確かにお前は俺たちの仲間を殺したが、俺たちもお前の仲間を数多く傷つけてきた。憎くはないのか・・?」
「・・・憎くないと言えば、嘘になるだろうね」
「・・」
「でも、それだけが全てというわけではない。君がミュウをそう見てくれているように」
「それは・・」
「・・僕も困っているんだ。いっそ憎んでしまえたらどんなに楽だろうって」
「・・・」

自ら吐露した本音に苦笑するオリジン。
300年以上の時を生きていても、彼が自分と同じように思い悩んだりする生き物なのだということを、セルジュは初めて知った。

だが何故だろう・・。
彼の言葉は、自分たち人類について・・というよりは、特定の誰かのことを指して言っているように聞こえた気がした。


その時だった。
扉の開閉音とともに、背後から聞き慣れた冴えた声が響いた。

「セルジュ、ここに入っていいと・・いつ俺が許可をした?」
「!・・た・・大佐!?」

腕組みをしたキースが扉の前に立っていた。

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2004.2.22 開設