Novel地球へ・・・

キース×ブルー

Memory of a pain
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番外編:隠し事
過去の記憶を持つブルーと持たないキース。痛みの記憶と向き合う転生パラレル。(完結)
side : Jommy
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同タイトルのジョミー視点のお話。(完結)
風紀委員長の日課
1 2 3 4 番外編:Valentine’s Day
風紀委員長キースと生徒会長ブルーの初々しい学園パラレル。(完結)
鉄仮面の失敗
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アニメ15話捏造話。シャングリラ脱出の際、キースが犯したミスとは・・?(完結)
セルジュ=スタージョンの疑問
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キース×ブルー←セルジュ(完結)

ジョミー×ブルー

激闘 in シャングリラ!
前編 中編 後編 後日談
ブルーの一言で、シャングリラ中を巻き込んでの腕相撲大会が行われ・・?(完結)
悩めるスノーホワイト
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アルテメシアを発って1年、少し遅めのジョミーの歓迎会が開かれることになったシャングリラ。(完結)

Memory of a pain -隠し事-

「やっぱり不公平かな」

腕の中のブルーが、シーツを手繰り寄せながら何か思い立ったように切り出した。結論から話し始める彼の話に、自分が問わなければ何も始まらないなと、とキースは仕方なしに間を繋いだ。

「何が」
「ジョミーのことさ」
「・・・」
「僕らはこうして過去も今も共有し合えるのに・・ジョミーだけ何も知らないのは、なんだか悪い気がする」
「・・」

いや・・・知らないのはお前なんだがな・・。
ブルーは自分の隣に、彼以上に心苦しい思いをしている男がいるなど知る由もないのだろう。キースはブルーがかつての彼とは違い、心を読む能力など持ち合わせていないことに心底安堵していた。

何も知らないブルーと、知らせないように決意したジョミー。
友人の決意に理解を示し傍観者に徹しようとしたキースだったが、実際は二人の間で板挟みの日々を送っていた。 別に知られたら知られたで構わないとジョミーは言っていたが、かといって自分の口から漏らしていい話ではないとキースは思う。

過去は過去だと割り切ろうとしてはいるが、やはりブルーとジョミーの絆の深さを考えるとどこか嫉みにも似た感情が頭をもたげているのに気付く。 そう思う自分にも嫌気がさす。だからこの件に関して、キースはあまり話題にしたくないというのが正直な気持ちなのだが。

「キースはどう思う?」
「・・・と言うと」
「こういうの、やっぱり僕の我儘かな」
「さあ・・どうだろうな」

秘密を抜きにしても、共通の記憶を持っていないキースには答えようのない問いではあった。否定する権利もなければ、安易に肯定することもできない。

「思い出して・・欲しいのか?」
「・・うん。でも・・僕のことじゃなくて、君のこと」
「俺・・?」

返ってきた予想外の答えに、キースは拍子抜けしたようにブルーを見つめた。

「そう。確かに、少し前はね・・自分のことをって・・思ってたんだ。でも今は・・君とジョミーも、僕や君みたいにわかりあえたらもっといいだろうなって・・」
「・・ブルー」
「でも、今でも君たち結構うまくやってるみたいだし・・やっぱりこのことは僕の胸の中だけにしまっておくよ」

そんなブルーの言葉に、キースは自分の思考を心底情けなく思った。 告げないというジョミーの決意を聞いた時、彼の意志を尊重するという思いとは別に、その事実に安堵する自分もいたからだった。

「ブルー・・実は・・」
「ん?」
「・・・・」
「実は・・なに?」

ジョミーの意志はジョミーのもの。
だが、キースにも意志はある。何も知らないブルーに一言でもいい、何か教えてやりたいと思う。 しかし一方で、キースの脳裏に友人の顔が過る。
しばらくその狭間で揺れたあと、キースは結局喉元まできていた言葉を押し込めたのだった。

「いや・・何でもない」
「そう・・」

不自然なキースの言動に、追及してくるかと思われたブルーからはそれ以外何も返ってこない。それどころか、彼はくすりと微笑むとキースの胸に頭を寄せた。 沈黙するキースに、ブルーがあーあ、と落胆の声を漏らした。

「嫉妬するな」
「?」
「君たちの友情に」

何を指してのことかは、とりあえず聞かないでおいたキースだった。


Fin

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2004.2.22 開設